<町田市地域の放射性物質による土壌汚染についての考察>

放射性物質による土壌汚染のレベルについては、よく用いられるものとして、チェルノブイリ事故後数年を経て設定されたウクライナにおける土壌汚染度合による住民の居住に関する区分けがある。

 

この基準においては、セシウム137に関して(この基準は事故後数年を経て設定されたものであるため半減期2年のセシウム134は除外されている)1平方メートル当たり148万ベクレル以上の含有箇所を強制避難区域、同55万5,000ベクレル以上148万ベクレル未満を強制移住区域、同18万5,000ベクレル以上55万5,000ベクレル未満を希望者移住区域、同3万7,000ベクレル以上18万5,000ベクレル以上を放射能管理区域(1年に1回住民の健康調査が行われる箇所)としている。

 

土壌汚染度合と区分け

土壌汚染度合 区分け 備考
148万bq以上 強制避難区域  
55万5,000以上、148万bq未満 強制移住区域  
18万5,000以上、55万5,000bq未満 希望者移住区域  
3万7,000bq以上、18万5,000bq未満 放射線管理区域 1年に1回住民の健康調査が行われる個所

 

当地の放射性物質による土壌のセシウムの汚染度合いは、従前の独自の調査に基づけば、1キログラム当たり平均的に約300ベクレル内外(※注1参照)と目され、この数値は、1平方メートル当たり換算に直すと約20,000ベクレルとなるが、東京都が、新宿区の百人町で測定している1平方メートル当たりのセシウムの降下量において、本年3月中に降下した数値の合計は、約20,000ベクレルであり、この点において、東京西部地区としての、その数値的な確からしさの裏付けが行なえるものと考えている。

 

この1平方メートル当たり約20,000ベクレルという数値は、前記チェルノブイリの基準で見ると放射能管理区域までには、及ばないものであるが、学者の主観的感覚として、京都大学の小出氏は、福島第1原発の事故前は1平方メートル当たりセシウムの汚染度合いが10,000ベクレルを超える土地があれば、絶対に自らは立ち入りを避けた土地であるとの発言もある。

 

この点、3月11日以前の視点で見た場合、1キログラム当たり100ベクレルを超えるセシウムを含有する土壌は放射性廃棄物であったわけであり、この感覚は留意すべきものといえるだろう。この放射性廃棄物への当てはめは、核燃料物質・核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第61条の2第4項(※注2参照)による。

 

ちなみに、この地域(町田市南地域)においては、セシウム137とセシウム134の比率は約2対1であるので、核燃料物質・核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第61条の2第4項(※注2参照)がベースとなり、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第61条の2第4項に規定する精錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則(※注3参照)第2条第1項第2号の別表第1に基づき、そのような土壌は、放射性廃棄物となるものなのである。

 

なお、この場合セシウム137、セシウム134のみで見た場合も、別表第1(※注3参照)に規定される1グラム当たりのセシウム134、セシウム137のベクレル数(1グラム当たり0.1ベクレル、1キログラム当たり100ベクレル)から見て、この括弧内の数値を超えており、ゆえにこの点においても当該土壌は、放射性廃棄物と言えることになる。

 

以上のとおり、当地域の放射性物質による土壌汚染度合いは、チェルノブイリの放射能管理区域までには、幸いにも及ばないが、主観的に見ても、従来の客観性の基準から見ても、楽観視できる数値とは言えず、今後は未検証なプルトニウム、ストロンチウムなどのアルファー線、ベーター線核種の含有量の調査を含め、その町田市域の土壌等の放射性物質による汚染度合いの全貌を行政当局主導で調査し、速やかに公開を行っていただけるよう強く希望するものなのである。

 

※注1

町田市南つくし野の2箇所の土壌とそこに生えている植物(ハマヒサカキ)について、本年7月と9月に調査したところ、土壌1キログラム当たりセシウム134が87ベクレル。セシウム137が230ベクレル検出され、当該土壌に生えているハマヒサカキからは1キログラム当たりセシウム134が30ベクレル、セシウム137が66ベクレルが検出された。また9月に調査したもうひとつの土壌からは、1キログラム当たりセシウム134が66ベクレル、セシウム137が210ベクレル検出され、当該土壌に生えているハマヒサカキからは1キログラム当たりセシウム134が11ベクレル、セシウム137が39ベクレル検出された。

※注2

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32HO166.html

※注3

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第六十一条の二第四項に規定する製錬事業者等における工場等において用いた資材その他の物に含まれる放射性物質の放射能濃度についての確認等に関する規則

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H17/H17F15001000112.html