東京電力の汚染水流出の出鱈目ぶりにアドバイザーの怒りが爆発

(止まらない海洋への流出・漏洩)

福島第1原発の地下からの高濃度の汚染水の海洋への流出・漏洩問題は、今もって止まる様子はない。

 

東京電力は、5月下旬には、原発敷地内の海側の井戸から、放射性物資を検出し、地下水や海水の放射性物質の濃度が上昇し続けていることを把握していたわけだが、7月22日になってようやくこのことを公表したものである。

 

(隠蔽をしてきた)

この間、地下水の水位と海の水位が潮の干満にあわせて連動することも東京電力は、把握しており、海への汚染が地下水由来によることは、当然把握していた。

 

つまり高濃度の汚染水の海洋への流出の実態を実に2か月間近くも、東京電力は、隠蔽してきたわけである。

 

(権威からの痛烈な批判とメディア・ブラック・アウト)

これに対しては、東京電力が設けた外国人2名、日本人4名からなる、第三者委員会である「原子力改革監視委員会」のデール・クライン委員長とバーバラ・ジャッジ副委員長が7月26日に東京都内で記者会見を行い、同社を痛烈に批判した。

 

この記者会見の内容は、AP、AFP、ロイターなど世界の主要通信社が東京発のかなり長文の記事をもって世界に配信しているが、日本の報道機関においては、東京新聞及び日本経済新聞が小さく記事として取り扱っただけであった(以下はそのうちAFPの配信記事である。http://phys.org/news/2013-07-nuke-experts-blast-fukushima-toxic.html)。

 

まさに欧米から揶揄されるメディア・ブラック・アウト(メディアの大停電)の面目躍如というべき展開であるが、このデール・クライン委員長とバーバラ・ジャッジ副委員長は、ともに世界の原子力業界の中で極めて、名声且つ権威のある二人と言って良い人たちなのである。

 

まず、デール・クライン氏であるが、同氏は、元米国原子力規制委員会委員長であるだけではなく、米国において極めて名誉な「Nuclear Statesman」賞(核の賢人賞)の受賞者であるし、バーバラ・ジャッジ氏は、英国原子力公社の名誉総裁と言う地位にある人である。

 

(外国通信社は長文記事を配信)

このような人たちをして、東京電力は、徹底的な批判にさらされた。世界の主要通信社が東京発のかなり長文の記事をもって世界にこのニュースを配信している由縁の一つが、ここにあるわけであり、さらにその権威者が、何よりも東京電力自らが設けた第三者委員会のトップ2の地位にあったことも、また大きい。

 

その批判内容と記者会見は、前記通信社の配信記事(英文)に詳しいわけである(今回の本トピックス記事の表題は、そのうちAFPの見出し中より意訳したものである(「Nuke experts blast Fukushima operator over toxic leaks」))が、記者会見の概ねの内容については、外国通信社による日本文記事としても、ネット・ニュースの形でAFPグループが、配信している。

 

当該内容に関しては、前記AP、AFP、ロイターなどの通信社による英文配信記事よりもトーン的には東京電力への批判が弱くなっているが、記者会見の重要な要旨としては、ほぼ相違なく、正確なものといえると考える。

 

よって本トピックス欄では、記者会見そのものの重要性も鑑み、当該記事をご確認いただくための参照アドレスを以下に記載したい。http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/accidents/2958809/11090490?utm_source=afpbb&utm_medium=detail&utm_campaign=must_read

 

(記者会見での内容)

ところで、バーバラ・ジャッジ氏からは、上記記事記載の批判のほかに、「今後の対処を本当に東京電力に出来るのか強い疑念を持った。問題が起こることは必至であろう。」とまでの言及を記者会見ではされている。

 

東京電力の隠蔽体質、不作為体質は、もはや筋金入りであり、国際的にも、さじを投げられたと言う内容と言えよう。

 

この状況に対して、日本政府が、お茶を濁したような処分しか、今回の件も同社に対して行っていないこと自体、東京電力と日本政府は、官民一体となった共犯であるとの捉えられ方を一層国際社会に浸透させるだけのものとなっていることもまた、安倍政権は、よくよく認識しておくべきものといえよう。

 

ちなみに、この件は、原発推進の方針にある日本経団連の内輪のミーティングでも、早々に報告されたようであり、デール・クライン氏、バーバラ・ジャッジ氏という高名な両者からの批判という点で、東京電力に対する非難がさすがに内部で熟成されつつあるようだ。

 

(欧米でのキャリアの意義とその反作用)

欧米人気質から言って、デール・クライン氏やバーバラ・ジャッジ氏のようなエスタブリッシュなキャリアを誇るある意味賢人を東京電力が情報を隠蔽し裏切ったという今回の事実は、彼らをして、もはや東京電力と同じ船に乗ることは、自らのキャリアを傷つける愚行と評価されるだけではなく、そのような船に乗っていたという事実自体が、自らに傷を負うものとなりかねないことを意識させることになろう。

 

おそらく彼らは、今後当分の間、自らのキャリアを守るために、東京電力の隠蔽体質を継続的に(国際)社会にアナウンスし、高濃度の放射性物質の海洋流出の事実については、自らに何らの責任もないことを声高に主張していくだろうことは、容易に想像がつく。

 

今回の問題についての彼らの批判は、一度の記者会見で終わることはないであろう。

 

デール・クライン氏は米国議会筋とも親しい関係にあるので、今回の問題について、米国議会筋がアクションを起こすことも予想される。この点においては、太平洋の汚染がどこまで拡大するのかという点で、米国は自国にとっての重大な利害関係を持つことになるので、寧ろ議会筋だけではなく、政府筋も動く可能性があるといえよう。

 

(愚者としての東京電力)

どうやら、この点から見ても、東京電力は、自らの愚行により、味方につけなければならない、重要な第三者を逆に批判者に回らせてしまっただけではなく、国際的な原子力業界そのものの中や国際政治の中においても、その第三者の影響力の大きさから、自社に対する批判者を増殖さすという形で、ますます八歩塞がりの状況に陥ち入る形になってきたと言えるものであろう。

 

このことは、前述の日本経団連の状況のように日本国内の原発推進派の中にも、東京電力に対する失望と懐疑そして非難を熟成させる要因を生み出しているようであり、原発推進派の自壊の萌芽が見えてきたのではないかという点においても、このニュースの与えるインパクトは、日本国内に対しても大きなものがあるように思われる。

 

(平成25年7月31日事務局記)