<4月19日付のドイチェベレ(ドイツ国営海外放送)のインターネット版報道記事について考える>

4月19日付のドイチェベレ(ドイツ国営海外放送)のインターネット版報道記事として「日本政府は原子力災害を矮小化させている」とする記事(英文)がトップ記事で掲載され、全世界に配信されました。

 

この記事中、本当にこんなことがあるのかと懐疑的にならざるを得ない部分がありました。それは、記事中の「Disinformation(情報が得られない)」という項目の中で、日本においては国民の愛国心に訴えるため農林水産省の後援により「福島の食品だけを食べる女子学生の美女コンテストが挙行された」と報じられています。

 

このような話は寡聞にして当会としても聞いたことはありませんでしたので、川田龍平先生の事務所から事の真偽を農林水産省に問い合わせてもらったところ「そのような事実はない」との回答だったとのことでした。

 

もっとも農林水産省は「そのような事実はない」というのであれば、このような記事が全世界に向けて配信されている以上、ドイチェベレに対して直ちに抗議を申し入れ、訂正記事の掲載を求めるべきと思料します。

 

しかしこれに対して農林水産省としては、現在までのところどのような対応を取るかは決めていないとの見解に終始しているとのことです。

 

当会としてもこれは完全な誤報であろうと考えますが、しかしながら今回の原発災害に対して現状日本政府が行っている数々の隠ぺいともいえる行為(スピーディの事実を国民に伝えず被曝させたり、メルトダウンの事実を伝えなかったりしていたこと)や、不合理な行為(年間許容被曝量を1ミリシーベルトから突然20ミリシーベルトに基準を引き上げたり、瓦礫の処理のように放射性廃棄物の100ベクレル基準を残しながら8,000ベクレルまで埋設処分ができるとすること、バグフィルターでセシウムが99.9%除去できると強弁すること、挙句の果てには事故対策が全くできていないにもかかわらず、対策ができていると強弁し、大飯原発を再稼働させようとすること等)は枚挙にいとまがありません。

 

そういった環境下においてはよりセンセーショナルな事実がニュースとして注視されるという事態に発展していると考えられるものであり、こういったセンセーショナルな誤報が国際的にも権威ある報道機関において、裏取りもなく堂々と報道されるということは、日本政府への信頼が国際的にも地に落ちているということを如実に示したものと考えます。

 

既に当会としても米国のワイデン上院議員の書簡として紹介しておりますとおり、国際的な注目の最大の的は今、福島第一原発4号機のプールの去就となっています。


米国だけではなく欧州を代表する報道機関であるドイチェベレの今回の記事にも最終部分にそのことが記述されていることは、いかにこのことが世界的に注目を浴びているかを証明するものであり、大変重要なことと思われます。

 

日本政府においては、どうか一日でも早く国際社会の信頼を取り戻すためにも誰が見ても不合理と思われるような対応は直ちにやめていただきたいと考える次第でありますし、いたずらな見栄を張らずにワイデン書簡の通り4号機のプールについては助力を早急に求めるべきです。

 

折しも農林水産省は各業界に対して、食品の放射性物質の含有基準値についても、国の基準に従い、それ以上の厳格さを求めないようにする主旨の指導を出していますが、自由主義経済においては購入者のニーズに応え、各企業が独自のサービス展開を行うことは経済発展のための要諦です。

 

放射性物質の含有数値そのものに絶対的な安全値は無いといわれているものである以上、このような自由主義経済を否定するような指導は消費者の反発を招くだけであり、国際的にも日本政府に対する不信感を一層増長するだけのものになるにすぎないと当会としては思料するものです。

 

(平成24年4月24日 事務局記)